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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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生物委員会に予定外の予算が必要になったのは渡り鳥のためではなく、本当の理由は別にあるのを三木ヱ門が遠回しに仄めかしていること、それを知っているのだろうと言外に示していたことには、雷蔵は気付いていただろう。
知らない話を持ち出して来た三木ヱ門に「何を言っているんだ」という戸惑いを微塵も出さず、逆に思わせ振りな態度を見せて、五年生が皆で何か企んでいると思い違いをしている三木ヱ門を撹乱した――あの穏やかな顔と物腰で。
不破先輩って意外と狸だ。
「あああ、ああああああ」
唐突に調子の外れた声を上げて八左ヱ門がへたへたと膝から崩れた。襟を取られたままの三木ヱ門も一緒に引っ張られて、勢い、地面の上にぺたんと正座する。
うなだれた八左ヱ門の髪が、重い藤の房のようにばさりと顔の左右に垂れる。
その房の下から「腰抜けた」と、気の抜けた声が呟いた。
「……それに俺、すげえ格好悪い」
「いえいえ」
「忘れろ」
「覚えました」
取り乱した八左ヱ門が口走った言葉で、似合わない脅し文句を執拗に並べ立てる原因が分かってしまった。
出来る限り生物委員会の中だけに収めておきたい「命懸けの理不尽な責任」に、部外者の三木ヱ門や文次郎を巻き込むのを、何が何でも避けたかったからなのだろう。
すでに自ら首を突っ込んでしまった三木ヱ門には後の祭りだが。


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