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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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暗さに慣れた目には痛いほど、その明るさが眩しい。三木ヱ門は片手庇をして目を細め、紙縒りの火を壁で押し消した。
「ああ、空気がおいしい」
抜け出した穴の外は八左ヱ門が言った通り、水練池のほとりだった。地下道の圧迫感から解放された快さに三木ヱ門が思わず伸びをしている間、池に近付き水面に顔を映した八左ヱ門は「こりゃひどい」と独りごちた。
よく見えなくてさえぎょっとした汚れ顔は、陽の光のもとで見るとより一層凄い。
改めてそれに気づき目を丸くする三木ヱ門に、八左ヱ門は少しきまり悪そうに笑った。
「男振りが下がっちゃうよな」
「いや、そうでも……いえ、あの、えーと」
「池の水で顔を洗う訳にはいかないしなー」
失礼な発言をさらっと聞き流して、八左ヱ門は手のひらでぐりぐりと頬をこする。文次郎もしきりに同じ仕草をしていたのを、三木ヱ門はふと思い出した。
「そのお顔は一体、どういうわけで」
「床下に潜ったり天井裏を這ったり、灰捨場を引っ繰り返したりしてたもんでね。どうして、なんて聞くなよ。いつものアレだ」
それに加えて屋根を走ったり地下道を通ったり、か。
「わざと汚していたんじゃないんですね」
「そのおかげで助かったみたいだけどな。立花先輩に"そのご面相では困る"ってのっけから言われたから、汚れていなかったら問答無用で拉致されたかも」
「竹谷先輩の顔形がいる、と仰っていましたが……」
「あー、それが分からないんだよなぁ。俺の顔をモデルにして生首フィギュアを作る、なんて悪趣味なことはいくらなんでもしないだろうし」
そう言って八左ヱ門が首をひねる。


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