忍者ブログ
. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
カレンダー
07 2025/08 09
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
文責
written by 大鷲ケイタ
バーコード
忍者アナライズ
14
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

忍者が匂いを持っているのは拙いよなあとぼやきながらひょいと左足を持ち上げ、絡まっている鎖をぐるぐると解く。
「あれ。これ、俺の微塵だ」
慌てて懐に手を突っ込んでその中を探った八左ヱ門が苦い顔をする。
「……掏られていたのか」
「地上で何があったんです?」
「それが、よく分からん。とにかく外へ出ようぜ。ここは暗いし埃っぽい」
地下道の先を指した八左ヱ門が先に立って歩き出し、三木ヱ門は慌てて後を追う。
小さい火を頼りに起伏だらけの足元に注意しながら歩く三木ヱ門の、やや遅れ気味の歩調に合わせてか、八左ヱ門はゆったりと歩を進めている。その背中に向かって三木ヱ門は尋ねた。
「どこに通じているんでしょう、この道は」
「水練池の近くの草ぼうぼうの所。そうそう、さっきは逃がしてくれてありがとな。流れ弾、って言うか流れ石礫は当たらなかったよな?」
「私と左門は何とも」
喋りながら歩く八左ヱ門の足取りには迷いがない。この悪路の様相を既に把握していて、更に道の出口を知っているなら、屋根から落ちて来た八左ヱ門と確かに同一人物だ。
「屋根の上では追われ、地下では絡まれとは……先輩、今日はモテますね」
「うわー、嬉しくねえ」
からっと言い放って笑う。口調は陽気なものの、声だけ聞けば息も絶え絶えの病人だ。……鼻薬を勧めてみようかな。
意地の悪いことを企んでいる三木ヱ門の腹の中などつゆ知らず、八左ヱ門が顔をこすりつつ言う。
「立花先輩に呼び止められて顔を貸せと言われたんだが、それが簡単にはいと言えない話だったんで、ちょっと……口論みたいになって」
互いに仁王立ちで睨み合い、険を含んだ声は次第に大きくなっていく。
その時、仙蔵の後ろから応援が現れた。我らが委員長が誰かと喧嘩をしている、と見て取った兵太夫が一緒にいた藤内を巻き込み、助太刀しますと叫んで突進して来たのだ。
「そのまま立花先輩の背中にタックルして、勢い余って向かい合っていた俺ごとぶっ飛んで、落ちた所が穴の上」
「……喜八郎に掘りっ放しはやめろと注意しておきます」


Copyright c 高札場 All Rights Reserved
PR
Powered by ニンジャブログ  Designed by ピンキー・ローン・ピッグ
忍者ブログ / [PR]