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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「いくら七松先輩だって、これ、ちょっと度が外れてるよね」
「まあな……」
「あんまりキレイじゃないけどさ」
踏鋤の先でトントンと頭上を突いてそんなことを言いながら、喜八郎は悔しそうな顔をする。
勢い良くどんどん掘り進んでいくのが楽しい小平太は横に、理想通りの美しい穴を仕上げることに熱中する喜八郎は縦に掘るのが主で、目的だって違うのだから、埒もない比較をして拗ねることはないだろうに――と言おうとして、あまりの阿呆らしさに三木ヱ門は頭が痛くなった。
もぐらに嫉妬するアリジゴクを宥めるようなもんじゃないか、これ。
「い組は宿題だってあるんだろう。二号・改が壊れたところで、今日はもう止めにすれば?」
「そうなんだよねー」
三木ヱ門の提案に、喜八郎は首を左右にコキコキと傾けしばし思案して、「そうする」とひとつ頷いた。左右へ続く暗い穴の、右手側の方を指さして確認する。
「こっちへ行くと長屋なんだよね」
「うん」
「じゃあまたね」
ひらひらと手を振って、辺りの暗さや足元の悪さに頓着せずすたすたと歩き出す。
「……おーい、底抜けのタコツボは放ったらかしか」
頭の上から差し込む弱い明かりを思い出して三木ヱ門が呼び掛けた時には、すでに返事がない。
地上に空いた口を塞いでいる訳じゃなし、これじゃまるで落とし穴だと呆れつつ、小山になった土砂を蹴り崩しながら三木ヱ門も再び前へ進み始める。
それから二十歩も行かないうちに、背後から長く尾を引く悲鳴と重いものの落ちる音が聞こえた。


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