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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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それと同時に天井が抜けた。
どざあっ、と特大の土嚢を引っ繰り返したような音と共に、さっきまで三木ヱ門が立っていた場所に土砂や石ころが雪崩れ落ちてくる。
それに混じって喜八郎がすぽんと降って来た。踏鋤を抱えたまま器用に着地すると、流石に驚いた様子できょろきょろと辺りを見回し、火を灯した紙縒りを片手にへたり込む三木ヱ門に目を留めて軽く目を瞠る。
「おやまあ。なんで三木ヱ門が地下にいるの」
「……あ、案の定だ、案の定だ」
「この穴、何?」
呻く三木ヱ門を気にかけるふうもなく喜八郎はぺたぺたと壁面を手のひらで叩く。苦無か手鋤か、何かの道具で掻いた跡に触れて、「七松先輩かぁ」と感嘆したように頷いた。
「なにこれ凄い、ちょっとした隠し通路みたい。どこまで続いてるの、これ」
「……。こっちへ行くと長屋、そっちは分からない」
来た方向を指さしてぐったりと三木ヱ門が言うと、喜八郎は少し伸び上がってそちらを眺め、それから自分の背中の方を振り返った。くるりと首を回して上を向き、底を抜いてしまったタコツボを見上げ、ちぇっと小さく舌打ちする。
「せっかくいい調子だったのに」
「アナンダ三号か? 大概にしないと、また用具委員会に叱られるぞ」
「違うよ。二号・改だよ」
腕を上げて地上の方を指し、喜八郎は不満そうに足元の土くれをぐにぐにと踏み潰す。
「じゃあ、この上は三叉路か。……と言うか、また"改"か」
「それ、何の話? 面白いこと?」
「一度完成したタコツボをさらに改造するなんて、珍しいな」
気にするなとか何でもないとごまかしても食いついてくるのが分かり切っているので、三木ヱ門は強引に話題の舵をきった。
「今日一番の傑作を埋められちゃったからね」
何気なく踏鋤を肩に担ぎ上げ、そうしてから周囲にぶつけもせずひょいと担げたことに気付いて、喜八郎は口を尖らせた。


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