忍者ブログ
. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
カレンダー
07 2025/08 09
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
文責
written by 大鷲ケイタ
バーコード
忍者アナライズ
24
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

八左ヱ門の姿を見かけるなり「お前は鉢屋か否か」と掴みかかった文次郎の行動は、一見乱暴だし実際手荒だったが、実に理に適っていたのだ。本当の本人だと決死の嘘を突き通して逃げ延びたものの、その八左ヱ門の中身は三郎であり、文次郎は気づかなかったとはいえ王将を獲っていたのだから。
「……今の"不破先輩"に、しがみついてでも引き止めるべきだったか」
しかしもう遅い。
言葉通りに事務室へ行ったとも思えない。校舎へ駆け込んで来たふたりの五年生と落ちあい、今後の対策を検討するつもりだろう。その会議の場に、「会計委員である三木ヱ門が既に幾つかの情報を掴み、不審人物たちの周囲を嗅ぎ回っている」との凶報がもたらされたら――
ここから先は徹底的に守りを固められる。
三木ヱ門はゆらりと立ち上がった。
「頭(かしら)はどこだ」
もう誰が誰なのか分からないが、何かを企む五年生が三人この校舎の中にいるのは確かだ。
勘右衛門も"三郎"候補だが――たぶん、本物の勘右衛門だろう。そしてきっと"企み"には深く関わっていないか、或いはよく知らない。伏木蔵と怪士丸から聞いた、同級生たちを見かけた時の反応が、随分と呑気過ぎる。
八左ヱ門はあの剣呑な追手に捕まっただろうか、逃げ切っただろうか。それとも未だ逃走中だろうか?
三人と合流する前に三木ヱ門が八左ヱ門を捕獲、もとい確保できれば、状況は会計委員会に有利になるはずだ。
捕まっていれば無理を押しても譲り受ける。
逃げ切っていれば今度は三木ヱ門が追手になる。
逃走中なら、屋根の上の追手と共闘する。
長屋の廊下の大穴へ飛び込むべく、三木ヱ門は踵を返して駆け出した。


Copyright c 高札場 All Rights Reserved
PR
Powered by ニンジャブログ  Designed by ピンキー・ローン・ピッグ
忍者ブログ / [PR]