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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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喋り動き表情を変えるのを間近で見て会話までした相手は、本物の雷蔵だと疑いもしなかった。
それはちょっとした仕草や何気ない言葉の選び方のような瑣末な点まで、三木ヱ門が見知っている普段の雷蔵との齟齬がなかったからだ。たとえそうと自覚していなくても、目の前の「雷蔵」に三木ヱ門の勘が違和感を覚えていれば、針で突いたほどの引っ掛かりがどこかで生じたはずだ。
そんなことは起きなかった。
自分の勘は信用できるのだと三木ヱ門は力強く頷く。
「今のはただの、その場しのぎの演技だ」
不破先輩の変装をしている鉢屋先輩の振りをした不破先輩だ。ああ、ややこしい。
口に出して言い、ついでに両手でピシャッと頬を叩く。目を覚ませ、しゃっきりしろ、惑わされるな。
威勢良く自分に言い聞かせるその下から、「だけど」――と反論の虫が顔を覗かせる。

作兵衛が鹿子に腕を突っ込んでいる現場に現れた「竹谷先輩」だって、見かけるどころか直接触れたし話もしたけれど、鉢屋先輩の変装だと全く気付かなかったよね。
焔硝蔵で会った久々知先輩はやけに軽口が多くて、鉢屋先輩がうつったのかな、なんて思ったよね。
不破先輩にも鉢屋先輩にも――「確定」鉢屋先輩にも、今日は既に二回会っているよね。それなら、今のこの邂逅はどちらにとっても「三回目」だよね。
親しくさせて頂いてはいるけれど、不破先輩の言動のクセを全て完璧に把握しているわけじゃないよね。
……以上ぜーんぶ……疑う余地は、十分あるんじゃないか?

「うわぁもう、己の理知が恨めしいっ」
話の整合性をとろうとなまじあれこれ考えてしまうから、直感を信用しきれない。頭の中で理と感が取っ組み合ってぐるぐるだ。迷い癖があるのは不破先輩なのに!


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