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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「反古紙がどうかしましたか」
「うん……いや、うん」
三木ヱ門の問いかけに曖昧に首を動かし、手の中のつづらに落とした視線を忙しなく上下左右に走らせていた雷蔵が、ふっと顔を上げた。
口の端だけでニヤリと笑う。
「え?」
「これ、落とし物として事務室へ届けることにするよ」
珍しい表情に戸惑う三木ヱ門につづらを掲げて見せ、雷蔵は妙にからっとした口調で告げた。その声音のまま、ところでさぁ、と言葉を継ぐ。
「君と会うのは今日三回目だ」
「はい? ――はい」
「最初に八左ヱ門の顔をした三郎と会い、次に書物を運んでいる私に会い、食草園に隠れていた三郎に会い、焔硝蔵で兵助に会い、三叉路で私と会い、屋根から落ちて来た八左ヱ門に会い、さっき窓の上にいる勘右衛門に会って、兵助と八左ヱ門と一緒に走っているのを見かけたと聞いたんだっけね」
「……そうです」
まるで確認のように順番に挙げ連ねる雷蔵に、三木ヱ門は不審を思い切り前面に押し出して答える。
食草園や焔硝蔵のこと、五年生たちに会った順番。三木ヱ門が話していないことまで正確に把握している。
「何故それをご存知なのですか」
まっすぐに斬り込んでみると、雷蔵はぽんとつづらを叩き、顔いっぱいににんまりした。
「以上ぜーんぶ鉢屋三郎でした、って可能性は考えない?」
「え!?」
「まあ最後の二人だけは除外できるよね。分身の術は流石に無理だ」
そううそぶいて、雷蔵はいたずらっぽく舌を出した。その雷蔵らしくなさと可能性の話に三木ヱ門が呆然としている間に、それじゃあまたねと挨拶して、悠然と廊下の先へ歩いて行く。
ぽつんとひとり残された三木ヱ門は我に返ると、思わずしゃがみ込んで頭を抱えた。
何だ今の。はったりか? 本当なのか?


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