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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「突庵先生と北石先生かぁ。僕たちの組に来ていた先生はどうしてるんでしょうね」
右へ左へ首をかしげていた怪士丸が、ぽつんと言った。
「名前も覚えてないけど――あれ? そもそも聞いたっけ――でも、元気に忍者してらっしゃいますかねぇ」
「忍者って"する"とか"しない"とか言うものかな」
小松田がドクアジロガサ忍者に狙われて一年生が長屋中で上を下への大騒ぎをしている最中、それに一切気付かずぐっすり寝ていた第三の教育実習生がいたと聞く。突庵や北石に会っていながら今の今まで三木ヱ門はすっかり忘れていたが、受け持った生徒にさえ名無しの権兵衛扱いとは。
「存在感が薄くて強心臓なら、先生としては失格でも忍者としては合格だろう。どこかで働いてらっしゃるさ」
「だといいなぁ」
「ねー」
怪士丸と伏木蔵が顔を見合わせてニコッとする。
会計委員会には一年ろ組の生徒がいない。ゆえに三木ヱ門はあまり接する機会がなく、一年ろ組と言えば陰気で気弱で潔癖症で神経質という印象ばかりが先に立っていたが、やはりと言うか、そればかりではないようだ。
教科担当担任は除く。
「……斜堂先生は風邪をひきかけていらっしゃるようだな」
空中から突然現れた(何と言われても三木ヱ門にはそうとしか思えない)時、鼻や喉の調子が良くない様子だったし、寒気がすると言って医務室で生姜湯を飲んでいったと乱太郎が言っていた。常日頃は自ら冷気を発散しているような佇まいであるにも関わらず。
「午前の授業中、黒板の上の方に虫が這い出して来たんです」
その軌跡がまるで一本の線に見えるほど恐ろしく足の早い虫が、と、右から左へ素早く手を動かして伏木蔵が言う。
「とうとう長屋から移動してきたか……」
「何の話ですか? 斜堂先生がそれに消毒液の瓶をぶつけたら、瓶が割れて頭からかぶっちゃって、」
「気化熱で一気にひんやりして、ブルブルです」
「医務室にあるよく効く"鼻の薬"を持って行って差し上げたらどうだ?」
三木ヱ門が言うと、一年生たちは「それはいいですね!」と顔を輝かせた。
良い子だ。
「先輩、どうして僕たちから目を逸らすんですか?」
「眩しくて」


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