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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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目を開けたまま見ていた夢から覚めたような心もとなさに、両手で思い切って頬をパンと叩いた。
「……うん、痛い」
頬を挟んだままぐりぐりこね回してもう一回、今度は軽く叩く。
さっき手を掛けた納戸はまだ振り返れば見える。
石火矢格納庫の血天井のような曰く付きのモノが校舎の中にあると聞いたことはない。しかし、何がいるか分からないと言った斜堂の顔を思い出すと、目を向けて確かめてみる気にはなれず、三木ヱ門は足早にそこを離れた。
ただの冗談か、何かの示唆なのか。それを言った人が人だけに何かが「いる」可能性も捨て切れないが。
「古い道具なんかもあるし、ツクモガミくらいならいてもおかしくないな」
それでも、学園の中で出た、見た、化かされたという噂は聞かないから、生徒に仇成すような根性悪はいないのだろう。万一いるとしても医務室に吹き溜まって、保健委員を転ばせたり穴に落としたり、こちょこちょと悪さをしているくらいか。
その場合、妖怪変化がいるから保健委員は不運なのか、保健委員が醸す不運に惹かれて魑魅魍魎が寄ってくるのか、どちらになるのかな。
「しつれーですねえ」
「わぁっ!」
急に聞こえた声につんのめって立ち止まった三木ヱ門の目の前に、いつの間にか伏木蔵と怪士丸が並んで立っていた。
口を尖らせ不満顔の伏木蔵と、くすくす声を忍ばせて笑う怪士丸をおっかなびっくり見比べ、三木ヱ門はまたぞろ高跳びしかけた心臓を胸を抑えて宥めた。
「いつからいたんだ、お前たち」
「斜堂先生が去って行かれるのを、田村先輩が棒立ちで見ていらした時からです」
「ぼぉ~っとしてらっしゃいましたね」
黒板が降って来たびっくりのせいですか? と、怪士丸が申し訳なさそうに顔を曇らせる。顔色が悪いのが通常の状態だが、その顔色が一層曇ると心配されているこっちが心配になるほど血の気が引いてしまうので、三木ヱ門は胸に当てていた手を軽く振って「そうじゃない」と答えた。
「一年ろ組は頼むから気配をさせて動いてくれ」
「僕たちはこれが普通なんです」
「……で、どうしたんだ? 僕に何か用か」
「先程は申し訳ありませんでした。お怪我はありませんか?」
ぴょんと背筋を伸ばして伏木蔵が言い、それに倣った怪士丸も真面目な顔をしたので、三木ヱ門はちょっと言葉を失った。


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