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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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ばたばた駆け出して行く一年生を見送った三木ヱ門は、その足でもう一度焔硝蔵へ向かってみたものの、既に兵助はおらず扉も閉じていた。
念の為に把手に手を伸ばしたが、鍵がかかっている。
辺りを見回しても文次郎の姿もない。目に付くのは相変わらずのすずめの群ればかりだ。
どうしようかと考えながら何の気なしにそれを眺めているうち、トントンと飛び跳ねるすずめの足元に小さな砂埃が舞うのが見えて、ふと思い付いた。
両手と膝をついて屈み込み、地面ぎりぎりまで顔を近付けて、乾いた土の上に残る足跡を探す。
「ふたり……いや、三人、かな」
焔硝蔵の中から外へ向かっていく足跡が二人分。ひとつは兵助のものだろう。やや乱れた歩幅は広く、爪先に力が入った跡がある。どうやら扉を出るなりかなりの勢いで走り出したようだ。
出入り口の手前まで来てすこし立ち止まり、そこから薬草園の方へ方向転換している足跡が一人分。こちらの足取りは歩幅が一定している。文次郎が焔硝蔵に立ち寄ったなら、これがその跡かもしれない。
足跡の長さを指で測ってみると三人とも八、九寸(約24~27cm)の内に入った。
「……やっぱり伊助はいなかったか」
一年生の足の裏はもっと小さい。すると焔硝蔵の中にいた"伊助"は上級生――、もっと言えば、五年生か六年生か。十五歳のタカ丸も一応候補に入る。
遁走したと思しきふたつの足跡と、薬草園へ向かう妙にきっちりした足跡。
さあ、どちらを追おうか。


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