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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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「歴史博物館シリーズ/絵巻 子どもの登場――中世の子ども像」(著・黒田日出男/河出書房新社)より、
中世社会には、自分が所属する身分を明示するために服装・名前を童子のまま改めず、一生大人(成人)扱いされない階層の人がいた。という話から、名前についての考察。


<!-- 注意!
カタいものではありませんが、以下の記事には中世日本に存在した身分制度、および落乱キャラにそれを敷衍した表現が含まれます。それによって実在・非実在に関わらず「される側」の人々を卑しめたり、今日的な差別問題についての議論を提起したりする意図は全くありません。
この時点で不快を覚えた方は閲覧をお止め下さい。警告に反して御覧になった場合の苦情はお受け致しかねます。
注意ここまで -->



織田信長の息子たちが親父の迸る先進的センスのために
・奇妙丸(顔が奇妙だから)→後の信忠
・三七丸(3月7日生まれだから)→後の信孝
・茶筅丸(茶筅髷が結えそうな髪だから)→後の信雄
と名付けられた例の如く、「~丸」は子どもの最初の名として付けられるのが一般的でした。
その点から、学園の生徒の中では10歳の「きり丸」「怪士丸」、13歳の「滝夜叉丸」、15歳の「タカ丸」は元服前の幼名と推測されます。

あれ、タカ丸の元服遅くね? って気がしますが、元服年齢は結構幅があるようで、13歳前後でさっさと済ませる人もいれば、身辺が忙しいと20歳前後まで先送りにされることもあったようです。真田幸村(信繁・幼名は弁丸)は上杉家に人質に行ってたので19歳まで元服できなかったとか結構アバウト。

そうすると木下「鉄丸」先生(36歳)、タカ丸のじいちゃん斉藤「幸丸」(生きていたら60代半ば?)は、なぜその年齢で名乗りが幼名?
てところで上記資料からはかってみると、室町時代後期の社会制度の中で二人は「いくつになっても社会から一人前と認められない、下位身分の人だった」という仮定ができます。

貴族・武士・寺社その他権力者の下で使い走りや雑用を仕事とする人たちは言わずもがな、中世の価値観では技術的職能民、いわゆる職人の腕は高く買われても、当の職人の身分は決して高くありませんでした。
他人に使役される職業、かつ特殊技術持ちの「忍者」もまた然り。
「忍たまの友 天之巻」を眺めてみると、前述二人の他にもホオズキ丸・内木小丸・毒掃丸など、成人と思われる忍者でも「~丸」という名前の割合が多く、ナチュラルボーン下位階層出身の人が多いのかなー…と想像できます。

元農民や元油売り、元商人が国持ち大名や天下人になる成り上がりストーリーが戦国時代の魅力のひとつですが、
そこまでの運や才覚が無かった大多数の人にとっては、身分の階層を上→下に行くほうが、下→上よりも比較的容易です。
学園の先生などプロ忍者の中には、山田「伝蔵」・野村「雄三」など、諱(いみな=大人としての名)の他の通称=字(あざな)と思われる名を持っている人もいますが、彼らは元服の年頃には(または現在も世間向けに別の顔があって)ある程度は社会的に認められた身分にいたのかもしれません。

もっとも、実在の人物には諱より通称のほうが広まっている人もたくさんいますし、
(例:山中鹿之介、諱は幸盛/坂本竜馬、諱は直柔 など)
親しい者同士の間では大人になっても幼名で呼び合う事もあったようなので、諱はあるけど幼名を通称として使い続けている事も十分考えられます。
また、一生幼名を名乗らなければならない人は服装も一生子ども姿のままなので、今後作中で私服姿が描かれたら一瞬で仮定がひっくり返る可能性大です。

ここまで書いて思い当たったんですが、タカ丸父の斉藤「幸隆」は諱らしい名乗りだから、幸丸さんは本人の意志で幼名を使っていたと考えたほうが自然かも……。
それより何より、尼子先生流の言葉遊びによる名付けを幼名がー通称がーと現実に当てはめて考えるのは野暮ってもんよ。

木下先生の私服が小袖に頭巾なしの四幅袴だったら伝子さんクラスの視覚の暴力ですねということでこの項を締めます。
長々とお付き合い頂きありがとうございました!
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