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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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他言無用と念を押した孫兵の強張った顔がぱっと目の前に浮かび、三木ヱ門は言葉を切った。
下手を打てばあちこちで首が飛び交うようなややこしい立場の猿なんて学園にはいませんよ、ということになっているのだ。
言い触らす必要はないだろうと孫兵には言ったが、引っ繰り返してみれば、必要な所にはきっちり話を通さなければいけない状況でもある。三木ヱ門が事情を知ってしまった以上は会計委員会もその一端に連なるはずだ。八左ヱ門は会計監査を言い抜ける方便を練っていたようだが、文次郎に事実が伝わる可能性を知れば、流石に肚を括るだろう。
しかし知らないうちに学園の命運さえ懸かっていたその事情を、会計委員長の頭越しに一年生に聞かせていいものだろうか。
喋りかけて沈思する三木ヱ門を、団蔵と左吉は御神酒徳利のように顔を揃えかしこまって見上げる。
いつもは饒舌な先輩が言いあぐねるのを見て深刻さを感じ取ったらしい。忍者ごっこだと遊び半分にしていた態度はすっかり引っ込めている。
事の次第の末端の更に先っぽの先に引っ掛かっただけの忍者のたまごたちが七面倒臭い建前に付き合ってやらねばならないが為に苦労しているなんて、天辺にいる国持大名たちは想像もするまい。
そんなことを考え、三木ヱ門は再度口を開いた。
「いま僕が知っていることは幾つかあるが、薬種や火薬の買入れ先について正確なことはまだ分からないし、それを話してしまって良いかどうか僕には判断できない。その要ありと見ればいずれ潮江先輩が話して下さるだろう」
いくらか前のめりになって謹聴していた左吉が、かくんと肩を落とし拍子抜けした顔をした。
「そこが肝心な点なのでは」
「僕の――たかだか四年生の一存で簡単に話せる話じゃない、ってことで勘弁しろ」
「しかし、それでは余りにあやふやです。せめてもう少し――」
「よしなよ。大人の事情ってやつだよ」
食い下がる左吉を団蔵が止め、三木ヱ門に分別らしい視線を投げた。



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