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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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指の下で、丸の中に書いた「火」の文字が少し崩れる。
その丸から「保」の点、「生」の丸へ線が引かれ、歪な三角形ができるのを、一年坊主たちが真剣な目で見つめる。
「火薬委員会は収支報告書に、予算で鳥の子玉を作ったが皆誤って破裂させてしまった、と書いてきた」
「つまり、鳥の子玉を作ったと見せかけて、予算を他のことに流用した疑いがある――ということですね」
「その可能性がある」
顧問の土井先生の釈明文まで付いていた三木ヱ門がと言うと、左吉は横目をし、団蔵は首をすくめた。
「でも」
いじめられた亀のようになったまま団蔵が反論する。
「火薬が予算の使途をうやむやにしたことと、生物に風邪薬、じゃなくて鼻薬を嗅がされた保健が火薬も巻き込んだことは関係があるんですか?」
「正直言ってそれはまだ分からないんだ――あれ、なんで、生物じゃなくて"保健が火薬を"巻き込んだって話になったんだ?」
「え?」
「え?」
びっくりしたように顔を上げた団蔵と三木ヱ門の目が合い、一拍おいて、互いに首をひねる。
傾いた顔のまま、団蔵が地面の図を指さした。
「別に根拠があって言ったわけじゃないんですけど、先輩がこう……火薬から保健、保健から生物、生物から火薬って線を引いたから、じゃあ直に繋がってるのは火薬と保健かーと思ったんです」
「そう引いたっけ」
「ちょっと実戦経験があるからって、ややこしく考え過ぎだよ」
蚊帳の外になっていた左吉がふふんと鼻で笑う。
が、三木ヱ門が「ああ、そうかもしれない」と呟いたので、ぴくぴくさせていた鼻がぴたりと止まった。どういうことですかとややムキになって三木ヱ門に向き直る。
「保健委員会は今、薬が潤沢にある。薬草園や山で採れる只の薬草じゃなくて、売り物の高価な薬種が」
その薬種で作った貴重な膏薬を、顧問や委員長の許可を得ず、一年生の判断で使ってしまってもいいくらいに十分に。
「……その買入れ先とか購入費用の出所はとりあえず置いておくとして、火薬委員会でも、従来より安く火薬を買える当てが出来たと久々知先輩に聞いた」
焔硝蔵にはいま沢山の火薬があり、医務室には沢山の薬種がある。
生物委員会は猿を持ち込んできた貿易商の伝手を伊作に提供して協力を取り付け、その伝手を使えば高価な品をいくらか安く買えると知った伊作が、更に火薬の販路も引き出して、猿の隠匿工作に火薬委員をも抱き込んだ――



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