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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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忍者アナライズ
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「それで、これから何をしたらいいんですか?」
「え、もしかして"忍者ごっこ"の首謀者は先輩なんですか……そんな子供みたいなこと」
「……お前たち、自分が何の学校に在学してるのか思い出せ」
どの辺りから話し始めたものか、とりあえず他聞を憚る話だからと一年生たちを招き寄せる。廊下と屋根の騒ぎを聞きつけた他の誰かが遅まきながら様子を見に来るかもしれないと思い付き、廊下を下りて庭を突っ切り長屋から離れ、校庭のはずれの築山の前まで来た所で立ち止まった。
石と岩と葉の落ちた樹木が織りなす冬枯れの情景を愛でる築山――ということになっているが、手入れ不十分で意図せずうらぶれた風情が醸し出されたと言う方が正解で、もっともらしい顔で侘び寂びを捻り回すにはまだ若過ぎる生徒たちはあまり寄り付かない。
説明らしい説明もなくそんな場所へ連れて行かれた左吉は迷惑半分、好奇心半分の様子できょろきょろと辺りを見回した。
「その辺の岩が割れて煙の中から首領が登場、なんて演出はないからな」
「首領って、潮江先輩ですか?」
「いや。この件に委員長は関わりない」
話は後で聞くと言って焔硝蔵の方角へ向かった後、何をしているのか分からない。まさか本当に「チーム牡羊座とは何だ」と、善法寺先輩を見つけ出して締め上げてはいないだろうが――久々知先輩と焔硝蔵の中にいた"伊助"は、潮江先輩をも騙しにかかっただろうか。
……やすやすと騙されるような潮江先輩だろうか。
それでなくても今、八左ヱ門に変装していた三郎を見抜けなかったと言って悔しがっているのだ。いつにも増して警戒心は強いはずだ。
何だか面白いことになっていそうな気がする。
思わずニヤリとしかけ、一年生たちが真面目くさった顔つきで自分に注目しているのに気が付いて、三木ヱ門はこほんと空咳をした。
「各委員会が提出した今月の収支報告書にざっと目を通したところ、不審な点が散見されてな――」
そのうちの半数以上は既におおよその調べをつけたと抜け目なく言い添える。
が、団蔵も左吉も特に感銘を受けた態度ではなく、揃って口を結んだまま促し顔に三木ヱ門を見上げている。


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