「夏の怪し」更新しました。
何もかもが曖昧で感傷的な雰囲気小話ですが、「この時期」から小平太が見た夢の状況を察して頂ければ幸いです。
生還することが第一の生業をする16世紀人にとって、未来人がやった十死零生の作戦はまるで理解の外だろうなあ、というのと、
たぶんその時に誰もが発しただろう誰にも届かない最期の声を、実は聞いていた人がいたらいい。と思ったらこうなった。
最後のカギ括弧の一文は、当時の指導者が実際に発言したと伝えられているものです。
軽々しく扱ってよい題材ではないのは重々承知しておりますのと同時に、大戦中に行われたこの作戦を賛美も非難もする意図はありません。また、創作物である以上私の主張したいものを内包し、それをどう受け取るかは読んだ方次第ではありますが、そこにイデオロギーを含んだつもりは全くありません。
現在からも当時の目から見ても「こいつぁ救いようがねえ」って指導者がいたのは事実で、それは誰にとっても不幸だったけれど、
ただ、その後を知っている人間が、先を知りようもなかった当時の人間がなんとかマシな方向へ舵を切ろうとしてとった行動をあーだこーだ罵倒し倒すのは卑怯だし、そうせざるを得なかった人間の心情を忖度するのは余りにおこがましいと私は思います。
読んでいる最中に「こうやって次代に残した時をお前は真摯に生きているのか」とひっぱたかれたような心境に陥ったお陰で、「きけわだつみのこえ」を読みかけたまま挫折してもう10年近く……。
年々再読しづらくなってるのはなんでだ。