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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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「タカ丸さん、やほー」
「はい、やほー」
喜八郎の軽い挨拶に同じように軽く応え、タカ丸が三人の近くへ来て足を止める。掴み合いも睨み合いもしてはいないが刺々しさを隠そうともしない三木ヱ門と滝夜叉丸に、のほほんとした表情で笑いかけた。
「君たちは仲良しだねえ」
「どうしたらそう見えるんですか!?」
とんでもない冗談を聞いたとばかりに滝夜叉丸が噛み付き、三木ヱ門もうんうんと頷くと、皆より背の高い年上の同級生は面白そうに一層目を細くした。
「どうしたらって言っても、そう見えるもの。でも、廊下でケンカするのは人通りの邪魔になるから、やめようね」
ね? と柔らかな口調で念を押されて、互いにそっぽを向いていた三木ヱ門と滝夜叉丸は不承不承、「はい」と返事をする。その声がぴったり揃って思わず互いに嫌な顔をすると、それを見てタカ丸が笑った。
そこへつつつ、と近付いた喜八郎が声を掛ける。
「タカ丸さん、暇ですか」
「うん。今のとこは」
「これ運ぶの手伝ってもらえませんか。数があるから重くって」
腕いっぱいの冊子を持ち上げて神妙な顔をする喜八郎にあっさり「いいよ」と言って、タカ丸は半分近く冊子をすくい取った。滝夜叉丸が慌ててそれをたしなめる。
「い組の宿題を他所のクラスの人に運ばせるんじゃない。それにお前は穴掘りで腕力が鍛えられてるんだから、これくらい何でもないだろう」
「今日はちょっと疲れてるんだもん」
「アナンダ1号2号の制作で?」
三木ヱ門が混ぜ返すと、喜八郎はぷるぷると首を振った。よく見れば、滝夜叉丸ほどではないが、いつもは元気にうねっている髪の毛がややしんなりとしおれている。
「作法委員会は今、新しいお作法の勉強に取り組んでて大変なんだ。手順は細かくてしんどいし、予算はかかるし」
喜八郎が言った"予算"の一言に、三木ヱ門だけでなくタカ丸までぴくっとした。三木ヱ門がそれに気付いているのに気付いたタカ丸の目がわずかに泳ぐ。
「……タカ丸さん。手拭い、もう少しお借りしてます。あとで洗ってお返ししますから」
「え、あ、うん。いつでもいいよ。急がないから」
「その作法って、この前から難しい顔で読んでる指南書のやつか」
三木ヱ門とタカ丸がぎこちなくやり取りする傍らで、滝夜叉丸が喜八郎に言う。
「うん、そう。すっごくめんどい」
「そのお作法って、もしかして鳥籠が要る?」
収支報告書にはっきり”鳥籠代”と書いているのだ。それなら遠回しに聞くよりもと、雑談に滑りこませて気軽なふうに三木ヱ門が尋ねると、喜八郎は呆気なく頷いた。



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