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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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直径が五分(約1.5cm)もないほどの金色の輪がふたつ繋がったようなものを手のひらに乗せ、目を近付けてしかめっ面をする。
「なんだろうこれ。知恵の輪ですかね?」
「いや。蟹鐶だ」
「マヨネーズと和えるとおいしい……」
「それはカニ缶だ」
「米と一緒に炊いてかやくご飯にしても……」
「人のトラウマをほじくり返して楽しいのかお前は」
そうじゃなくて! と三木ヱ門はきり丸の手の上をビシッと指さした。
「こっちの鐶の外側に突き出したつまみを押し下げると、中のバネが縮んで輪が開いて、もう一方の金環に取り付けることができるようになっているんだ。カニのハサミに似ているから蟹鐶と言うのさ。ちょっとひしゃげてるけど、下の方に小さい穴が開いているだろう? ここに紐を通して物を吊るす」
「でも、こんなにちっちゃいと何も吊るせませんよ」
小さい割には重いけど、と爪の先ほどの蟹鐶と金輪を手の中で転がしてきり丸が言う。
だいぶ傾いてきた夕方の日差しにきらきらと光る金色が目に眩しい。
「紐の両端に結びつけておけば留具にもなるが……、それは僕が作兵衛に返しておくから、お前は縄梯子を持って行ってくれ」
「……」
「縄梯子を持って行かせてあげる」
「はいっ」
三木ヱ門の手に輪っかをポンと渡し、きり丸は元気良く踵を返した。歩き出しかけて振り返り、「チーム牡羊座、忘れてませんよ」と言ってニッと笑うと、落とし穴の方へ向かってさっさと駆け出して行く。
苦笑いでそれを見送った三木ヱ門は、きり丸の姿が見えなくなると、ふと真顔に戻って肩をすくめた。
「やれやれだな」
受け取った蟹鐶を軽く握り、その重みを感じて確信する。
小粒なのにこの重量感。
間違いない、純度の高い金だ。然るべき場所へ持ち込めば、きり丸がそうと知ったら何が何でも握った手を開かないくらいの値は付くだろう。
どうしてこんなものを作兵衛が持っていたのか――
「……あの飾りと関係があるな」
両端に紐の付いた豪華で小さな飾りと、金でできた小さな留具。組み合わせとしてぴったりじゃないか?
今度こそ探しだして捕まえると決心して、三木ヱ門は作兵衛の去った方角へ走り出した。



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