日本古典文学全集42と新日本古典文学大系より抜き書き
44巻で金吾と喜三太が歌っていた歌。物事を列挙するものづくし歌謡。
「心凄きもの 夜道船道旅の空 旅の宿 木闇(こぐら)き山寺の経の声 思ふや仲らひの飽かで退く」
全集の現代語訳:
心細くおそろしいものは――夜の道、船での往来、旅の境遇、旅の宿、木立の茂った暗い山寺から聞こえる読経の声。恋人同士が、飽きたためというのではなく、心ならずも別れ遠ざかる場合。
大系の現代語訳:
心細く気味が悪いもの。夜の道。船の行き来。旅上。旅の宿。樹木が茂る山寺への道を上るにつれて次第に近づく、堂内に籠もった読経の声。想い合う仲の男女が心ならず離れ去る。
・心凄きもの 心細く気味が悪いもの。途中で「心の寂しさがまさるもの」に転換。
・木闇き 樹木の茂り。「こごしき」で険峻の意と取る説もある。
・思ふ「や」 ことばの調子を整える間投助詞。
・経の声 看経の声。
・仲らひ 人々(男女)の関係、間柄。
・飽かで 「飽かずして」の約。飽きてしまったというのではなく、愛し合っていながらも。
・退く 離れ去る。
・相模から忍術学園への帰途にある金吾と喜三太が、旅路の情景を詠んだ歌を口ずさんでいる状況。
・男女の機微を歌う最終句の前に担任ズがカットインした。
・のは教育的配慮かもしれない。
・427-437までほぼ「ものづくし歌謡」なので、このへんを2人できゃいきゃい歌いながら歩いていたと思うとカワイイ。
ex:436番
「武者の好む物 紺よ 紅 山吹 濃き蘇芳 茜 寄生木(ほや)の摺り 良き弓 胡【竹祿】(やなぐひ;胡+竹かんむりに祿) 馬 鞍 太刀 腰刀 鎧冑に脇楯 籠手具して」