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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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その頃、偶然にも角場で猿を捕まえた左門は私服姿で外にいる木下を見かけ、「山で放してやってほしい」と猿を預けた。
木下は仰天しただろうが、飼育小屋へ返したり生物委員を探して託す暇もなく、講師が学園長との話を終えてしまった。
公にできない預かり物だから、誰かに生物委員へ「猿は無事だ」と伝言を頼む訳にもいかず、仕方なく猿を連れたまま外出した。
その直後に正門へ駆けつけた八左ヱ門は、出門票に木下の名前が書かれているのを確認して、学園の中へ引き返すことなくそのまま裏山へ向かった。

しかし今、木下はどこかに小猿を隠し持っている気配はなく、事情を知っている気配を匂わせる三木ヱ門に対する態度は平静だ。
木下と猿を探して必死で裏山を駆け巡る八左ヱ門にどこかで出くわして、猿は八左ヱ門に渡し、木下は講師を送って帰って来た――そんなところだろう。
とにかく、猿は確保済みなのだ。
状況を繋ぎ合わせて考えてみると、どうも小猿の逃亡劇は左門によってあっという間に終わっていたようだ。
……つくづく、塹壕に落ちた時に虎若たちに「変わった猿を捕まえた」と言ってやれば良かったものを。結局その必要は無くなったようだけど、善法寺先輩と一緒にいるはずの一平は、何を頼もうとしていたんだ?
生物委員会と保健委員長の間に、表沙汰にできない"鼻薬"が介在するらしいことを、顧問の木下先生は承知しているのか?
口をつぐんでもの問いたげな上目遣いをした三木ヱ門を、木下がじろりと睨み下ろす。
「……あのぉ」
その時どこからか、ひどく籠もった遠慮がちな声が聞こえた。
「え? 誰? どこ?」
きり丸と雷蔵がきょろきょろ辺りを見回す。ポンと手を叩いた清八が、足元の落とし穴を指した。
「そうそう。この中にどなたかおられます」
「ところで、異界妖号はどうしたんですか? 団蔵には会って行かれます?」
「別の場所に繋いでありますよ。先程お会いしたは組の生徒さんに、若旦那は補習中だと伺ったんですが」
「あー。補習っていうか、授業中に終わらなかった作文の清書をしてるんです、あいつ」
「……あのぉー! 発見ついでに、引き上げて頂けると嬉しいんですけど!」
呼び掛けそっちのけで話し始めたきり丸に抗議するように、深い穴の底からさっきより強い声がした。



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