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. . . . . . . . . . . . ぐだぐだ雑記兼備忘録です。
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written by 大鷲ケイタ
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生物委員を見つけて猿が校外へ持ち出された事を伝える、という目的は果たした。
露見すれば大騒動間違いなしだった猿の脱走については、そもそも三木ヱ門が気を揉む事ではないのだが、たぶんもうそれほど心配しなくていい。理由はまだ頭からすっ飛んだままなのがちょっと落ち着かないけれど。
孫兵の話で、生物委員会の奇妙な収支報告書の件は解決した。
不審な行動の理由と小さな飾りの事を作兵衛に尋ねるのは、三木ヱ門を見たらまだ逃げ出すかもしれないからと、委員会の先輩である留三郎が引き受けてくれた。
その留三郎に脅しつけられたりはぐらかされたりして少々煮えた腹も、乱太郎たちを焚き付けてささやかな仕返しに成功したから、今はもう穏やかに癒えた。
「色々片付いたなぁ……、っと」
再び校庭へ下りると、三木ヱ門はぐうっとひとつ伸びをして、薬草園の方へ歩き出した。
保健委員会が"雀用薬餌代"と報告してきた支出については、留三郎にはああ言ったものの、きっちり追及しなければならない。
それはそれとして、医務室で新たな気がかりに出くわしてしまった。

生姜湯を作る時、乱太郎は生姜の他にもあれこれ薬草を鍋に放り込んでいた。
木瓜の蜜漬けや他の薬の材料になる高純度な蜂蜜を、蛇のきみこにまで大盤振る舞いした。
薬の在庫に余裕があるから特製の膏薬をまとめて作り、それを委員長ではなく一年生の判断で、惜しげもなく使った。
いつも予算が足らないとぴいぴい嘆いている保健委員会なのに、いやにあれこれと気前が良かった。

「……日本語って難しいよな。足元を見るとか、首が飛ぶとか、ぼけのみつづけ――はちょっと違うか」
えらい目、と聞いた乱太郎が「偉そうな目」をしたのを思い出して、三木ヱ門はくすんと鼻を鳴らして笑った。
そう、"鼻の薬"もだ。
凄くよく効く"鼻薬"の在り処は伊作だけが知っていて、下級生たちには教えてくれない。
乱太郎が言ったその言葉と、やたらに羽振りの良い保健委員会の様子を見て、留三郎が怪しんだ。

「伊作のやつ、誰かに鼻薬を嗅がされてるんじゃねえか」と。

つまり、賄賂を受け取っているのではないか、と言うのだ。
金銭をそのまま貰ったのか、薬を安価で仕入れる伝手を教えられたのか、とにかく「良い鼻薬が手に入った」ために保健委員会は潤沢な在庫を獲得した。
伊作の性格からして、取引相手や賄賂の見返りが学園の規律を犯すものと言うことは有り得ない。しかし、委員会の後輩に対してはその事について言葉を濁し、気心の知れた友人である留三郎には一言さえも話していない。
と言うことは、何か後ろ暗いところがある「取引」なのだ。
そこで妙な具合に話が転がり、留三郎が作兵衛に鹿子のことを尋ねる代わりに、三木ヱ門は伊作の「鼻薬」を調べる事になった。
支給した予算が不正に流れている可能性が皆無ではないから、調査をするのは会計委員として否やはない。用具委員の留三郎がそれを言い出した動機は別に正義感ゆえではなく、「保健委員会が賄賂で潤っているのは大いに面白く無い」という、平たく言えば八つ当たりだ。
ウチは今月予算無しで喘いでいるというのに!
「……まあ、食満先輩がそう言うんだから、用具の予算をぶん取ったのは保健じゃないんだろうな」




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